仕事の思い出(1)

私は以前、小売業の会社に勤めていた。(一応上場企業)そこで私は店舗責任者と、本社の貿易担当部署にいた。
最近その会社のオーナー会長が替わった。別の小売業に株式を売却し子会社化したのをきっかけに辞めてしまったのだ。そこは典型的な同族会社で会長が父親、息子が社長と取締役、娘婿が部長と言う体制だった。もちろん株の半分以上は一族が保有していた。しかし、父親の会長のワンマンぶりは息子たちふたりにもいかんなく発揮され、息子たちも父親の専横にはしばしば辟易していた。

とにかくとんでもない会社だった。休みはあるが取れない。寝る時間まで規定される。パートタイマーの社会保険など希望者限定と称してなるべくかけない。若手社員は昇格をちらつかせて、どんどんサービス残業させる。一日12時間勤務など短いほうだ。フルタイムと言って、午前7時から午後10時までの勤務もさせる。その回数が手柄になる。配置人員も最小限を越えていた。その気になった万引ならいくらでも取り放題だ。
管理職をヒラに降格させたり、北新地で見つけた女性を翌日社員に採用(その給与も勝手に決められる)など日常茶飯事だった。
今でも思い出すのは、突然のボーナスのカットだ。そのころ全店平均売り上げは好調であった。それが突然、ボーナスの10%を自社でしかつかえない商品券で発行するという実質カットの宣言をした。全店会議の際に『今ひらめいた』と言ってその場で決定したのだ。というか、本人に言わせるとカットではない。「愛社精神があるなら、買物はうちでするのだから現金と一緒。そして、買物は売り上げアップにつながるから、返って得するくらいだ」と大真面目でぶっていた。経理部長が頭を抱えていたのを思い出す。課税がややこしくなるからだ。
私の担当する輸入品の仕入れもすごかった。会長は現金を持って海外に行って、その場でばんばん買い付けてくる。何をいくつ買ったかは、荷積みのFAXが来るまで分からない。はっきり言って権利関係などで輸入してはならないもの、売ってはならないものもあった。しかし、それをごまかして店頭に並べないといけないが社員の仕事だ。
所詮、思いつきで買ったものだ、国産品と違って売れない輸入品は在庫として貯まる。それを資産として計上させるが、価値のあるものは少ない。監査法人は処分せよ、と言ってくる。経理部長も言ってくる。誰に?もちろん、会社のトップでなく、私にだ。私はおそるおそる進言する。結局、そうしたことが逆鱗に触れて私は退職することになった。

その後、娘婿が退職、続けて下の息子が退職した。上の息子である社長も退職した。そのこと、株の多くは別の小売業の会社が保有することになっていた。そして、この12月ついに会長自身も会社を去った。
私は友人と「最後は会社を売り抜いて、自分らだけが美味しい思いいするんやろうな」と噂していたが、現実となった。社長にはあの頭を抱えていた当時の経理部長が就任した。
そして、過酷な労働を毎日続けている、社員とパートさんたちはそのまま残された。この会社、店舗は今後どうなるのだろうか。

このシリーズしばらく続きます。
by garyoan | 2005-12-24 00:15 | 仕事の思い出
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