2006年 03月 01日 ( 1 )

大阪駅11番ホーム

Yと言う友人がいた。ほとんど酒が原因で若くで死んでしまったのだが、とっても世話になった友人だった。酒だけでなく、仕事も出来た。女性にももてた。
いろんなところを飲み歩いたものだが、Yの家族は私とYとはもっとたくさん飲み歩いていたことになっている。要するにアリバイに使われたのだ。まあ、ほとんどばれていたそうだが。
いろんな店やシチュエーションで飲んだが、一番印象に残っているのが、JR大阪駅の11番(確か)ホームだ。
ブルートレインの発車するホームなのだが、そこでブルートレインと旅立つ人たちを眺めながら、缶ビールやカップ酒、弁当サンドイッチ、乾き物を売店で調達しながら飲むわけだ。
ちょっと惨めだが。安くはつくし、終電に遅れることはない。なにより、旅情を感じれた。「今度の休み、信州にでも行くわ」「じゃ。俺は白浜に」とか実現不能の思い付きで盛り上がる。
ところが、ご機嫌な精神状態の時ばかりではないもので、メランコリーな時はこの11番ホームは危険だ。ある時、酔っ払って「今からこれに乗るわ。仕事も今日で辞め」などと言ってしまったことがある。冗談抜きだった。Yの方も「ほんま、乗ってしまえたら良いですねえ」としみじみ話したことがあった。急性の失踪願望?

結局、理性が勝って今も私はここにいるわけだが、Yの方は別の方法で逝ってしまった。

このワインは トスカーナの碧い空

 ―見たこともないくせに
彼女が笑う

辻邦生のフレーズだ 小説の

なあ このボトルが空になったら
どこかへ 行ってしまわないか

JR大阪駅の11番線
僕とYとはブルートレインをながめながら
あてどなくビールを飲んでいたんだ

あれ乗ったら人生全部リセットだって
笑い話をしながら

そんなYは逝ってしまった
勝手な人生にお似合いだね

 ―生きてることって まんま旅よ
わかったような慰め 嫌な女だ

そうだ ワインがあいたら 結局
行き着く先は 君の部屋だからね
by garyoan | 2006-03-01 01:17 | 酔郷から