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オウム真理教元幹部岡崎(宮前)一明被告の死刑判決が確定したとの報道を受けた。 坂本弁護士一家殺害など、同被告の罪は重く、自首の情状を持ってしても死刑判決はやむをえないと言う裁判所の判断は理解できなくもない。 しかし、カルト問題の専門家がアピールしてきたカルトの問題の核心とも言うべきマインドコントロールについての考慮が不足していることも事実である。 あわせて、今後のカルト問題を抑制していくためにも、単に刑罰を与えるだけでなく、オウムの事例を研究し尽くすことこそ、未来の為に重要だと私も考える。 4月7日に日本脱カルト協会が発表した声明を引用する。 声 明 最高裁判所は、本日、オウム真理教の元信者宮前一明被告の弁護側上告を棄却した。一連のオウム事件では、教祖麻原彰晃こと松本智津夫被告以外で、構成員12名に死刑判決が下されているが、初めての確定となる。 同被告は、坂本弁護士一家殺人事件、田口修二君殺人事件にかかわったのであり、その罪は極めて重い。 しかし、当協会は右死刑判決に対する上告棄却に抗議し、法務大臣において構成員の死刑判決が確定しても、決して執行しないことを強く望むものである。 すなわち、仮に死刑制度の存続を前提としてであっても、かようなカルト性の高い集団での絶対的指導者であるグルの指示による犯罪について命を奪う死刑を言い渡し、さらに執行することは、まったく正しくない。当協会会員らは宮前被告の高裁法廷を初め、一連のオウム裁判に次々と鑑定人また証人として出頭し、その一環として何度も面談し、時には裁判所の要請により拘置所にて、ご家族の要請により刑務所の了解も得てカウンセリングを重ねてきた。 その中で改めて確信したことは、いずれの被告人も、松本被告と同人が作ったシステムの中で、それまで各人がもっていたビリーフシステムを、巧妙に「グル麻原彰晃尊師に絶対的に服従する」「グルの指示で人を殺すのは良いことだ」などに入れ替えられたうえでの事件だったということであった。 この重大な事実は、事件のあまりの極悪非道さによってか、井上被告に対する一審判決を別とすれば殆ど主文に反映していないが、その直接撒布したサリンによって8人もが死亡した林泰男被告に対する一審判決のいう「およそ師を誤まるほど不幸なことはなく、この意味において、被告人もまた、不幸かつ不運であったと言える」に分かるように、事件の真相を知れば知るほど明確に分かってくることである。実際、これらは取調官こそ理解していたものであり、1995年初夏、東京地方検察庁次席検事が「マインド・コントロールの影響で取り調べは困難を極めた」と述べたことを軽視してはならない。実行犯らは実態としてグル麻原のロボットだったのであり思考を停止した状態だったと評価するほかないのである。宮前被告においても、数ヶ月に上る暗黒の独房修行の中、変性意識状態の中でグル麻原への絶対的な服従を植え付けられていたものであり、その後の脱走はあったが、麻原の桎梏は離れ得ていなかった。 当協会会員らのもとには、今も、破壊的カルトに絡めとられた家族らの相談が引きもきらない。オウム事件の実行犯もまったく人ごとではなく、誰の子どもでも、またどこの親がその立場になっても不思議ではないことを実感する。 また、諸外国の同じ問題意識を持つ学者・カウンセラーとの集まりや、外国のマスメディアから取材のとき真に感じることは、一連のオウム裁判は、破壊的カルト集団が犯した事件に対する審理として、殆ど世界で初めての裁判であり、世界中が注目していることである。 かようなとき、12名に対して命を奪う死刑を言い渡し、さらに執行することは、日本の司法と司法行政が、破壊的カルト集団の本質を理解していないことを世界に示すものとなってしまうものであり、日本の歴史に重大な禍根を残す。 宮前一明らは、オウム真理教と自己を死ぬまで分析・反芻しつつ、自らの罪を負っていくべきである。未だグル麻原の桎梏を離れていない被告人もいるが、彼らに対しても息の長い周囲からの働きかけが必要である。それによってこそ、未だ信者の残る「オウム真理教」も真に崩壊し、かつ破壊的カルト集団がどのような心理的機序により違法行為を重ねるのか、また殺人まで犯すのかを明確にでき、類似の集団による同様の事態を防止することにも資することができる。 以上の理由により、私たちは、本日の上告棄却に強く抗議する。法務大臣においては、構成員らの死刑判決が確定しても決して執行しないことを強く望む。 2005年4月7日 日 本 脱 カ ル ト 協 会 代表理事 浅 見 定 雄 最 高 裁 判 所 御 中 法 務 大 臣 御 中
by garyoan
| 2005-05-07 18:49
| 酔郷から
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